ベトナム料理の特徴とは?日本人の舌にも合う魅力を解説
ベトナム料理と聞くと「フォー」や「生春巻き」を思い浮かべる人が多いでしょう。
実際、ヘルシーで優しい味わいのベトナム料理は日本人の口にもとてもよく合います。
しかし、ベトナム料理の魅力はそれだけではありません。
今回はそんなベトナム料理の特徴や地域ごとの違い、人気の定番メニューまで紹介します。
1.ベトナム料理の基本は「バランス」
ベトナム料理の根底にあるのは「五味五色五法」という考え方です。
これは「甘・辛・酸・苦・塩」の五つの味を見た目や調理法のバランスで整えるというもの。
派手な味つけではなく、素材の持ち味を生かしつつ調和を大切にします。
さらに、料理には「陰陽のバランス」も意識されており、暑い地方の料理でも体を冷やしすぎない工夫がされています。
たとえば、辛味のあるスープに香草を添えたり、生野菜と揚げ物を一緒に食べたりと、
一皿の中にさまざまな要素を組み合わせて健康的な食事に仕上げるのが特徴です。
2.調味料がシンプルで奥深い
ベトナム料理の味の決め手といえば「ヌクマム(魚醤)」です。
カタクチイワシを発酵させて作るこの調味料は日本の「ナンプラー」と似ていますが、ヌクマムの方がまろやかでコクのある風味が特徴。
炒め物やスープ、つけだれなど、ほとんどの料理に使われています。
また「ライム」や「チリソース」、そして「ニンニク」も欠かせません。
これらを自由に組み合わせて自分好みに味を調整できるのもベトナム料理の楽しさ。
外食時でもテーブルに調味料セットが置かれており、客が味を仕上げるスタイルが一般的です。
3.ハーブと野菜が主役級
ベトナム料理が“ヘルシー”と言われる理由の一つがハーブと生野菜の多さです。
ミント、パクチー(コリアンダー)、バジル、レモングラスなど、香りの強いハーブを惜しみなく使います。
たとえば「生春巻き(ゴイクン)」にはたっぷりの野菜やハーブを巻いて、ヌクチャムという甘酸っぱいたれにつけて食べます。
油をほとんど使わないため軽いのに満足感があり、ダイエット中の人にも人気です。
4.米文化が根付いた主食
ベトナムは日本と同じく「お米の国」です。
そのため料理の中心には常に米があります。
代表的なのは米麺を使った「フォー」。
あっさりしたスープと柔らかい麺の組み合わせが絶妙で、朝食や軽食として日常的に食べられています。
他にも「ブン(細い米麺)」や「ミークアン(中部の太麺)」など、地域ごとに多彩な麺料理が存在します。
また、炒めご飯「コム・チエン」やおこわ「ソイ」、米粉を使った蒸し料理「バインセオ」など、米を主役にした料理のバリエーションも豊富です。
5.地域によって異なる味の傾向
南北に長いベトナムでは、地域ごとに気候も文化も異なります。
そのため料理の味つけや材料にもはっきりとした違いがあります。
北部(ハノイなど)
塩気が強く、全体的にあっさり。
ヌクマムの使用は控えめで、素材の味を生かす傾向があります。
代表料理は「フォー・ガー(鶏のフォー)」や「ブンチャー(焼き豚つけ麺)」。
中部(フエなど)
ベトナム料理の中で最も辛く、スパイスも多用されます。
王朝文化の影響で見た目も華やか。
「ブンボーフエ(辛口牛肉スープ麺)」が有名です。
南部(ホーチミンなど)
甘めの味つけが特徴でココナッツミルクもよく使われます。
豊富な果物や野菜を使った料理が多くボリューム感もあります。
「コムタム(砕き米の焼肉ご飯)」は南部の代表的な家庭料理です。
6.フランス文化の影響も色濃い
19世紀後半にフランスの統治下にあった影響で、ベトナム料理にはヨーロッパのエッセンスも溶け込んでいます。
その代表が「バインミー」。
フランスパンにハムやパテ、なます(大根とニンジンの甘酢漬け)を挟んだサンドイッチです。
外はパリッと、中はふんわりした食感が特徴で、街角の屋台から高級カフェまであらゆる場所で親しまれています。
また、ベトナムのコーヒー文化もフランスの影響を受けています。
練乳入りの「カフェ・スア・ダー(ベトナムアイスコーヒー)」は濃厚で甘いのにすっきりとした後味で日本でもファンが多い一杯です。
7.食文化に息づく“共有”の精神
ベトナムの食卓では大皿料理をみんなで分け合うのが基本です。
「家族や友人と食卓を囲む時間を大切にする」という文化が根付いており、料理を通じて人と人との絆を深める役割もあります。
また、屋台文化も盛んで通りにはフォーや揚げ春巻き、デザートなどを売る屋台が立ち並びます。
ベトナムでは“食べること”が日常の楽しみであり、地域の人々の交流の場にもなっています。
8.まとめ:シンプルだけど奥深い、それがベトナム料理
ベトナム料理は、派手な味つけや調理法ではなく「素材の良さ」と「バランス」で魅せる料理です。
ハーブや野菜をたっぷり使い、米を中心とした優しい味わい。
そこに地域の個性やフランス文化の香りが加わることで、他のアジア料理にはない独特の世界観が生まれています。
日本でもフォーやバインミーの専門店が増えていますが、現地ではさらに多様で深い文化が広がっています。
旅行や食事の中でぜひ本場の「ベトナムの味」を感じてみてください。
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