自転車通勤、ヘルメットの重要性
――「ヘルメットが割れた」けど、自分は生きていた。
今回は自転車通勤をしている方なら誰もが一度は考えたことのあるテーマ――「ヘルメットの重要性」について書いてみたいと思います。
最近は自転車通勤をする人も増えました。
健康のため、節約のため、電車の混雑を避けるため…。
理由は人それぞれですがその分、通勤中の事故も少なくありません。
私自身、これまでに2回ほど車に撥ねられた経験があります。
どちらも命に関わるような事故にはなりませんでしたが、そのときヘルメットが割れていたという事実を見た瞬間、背筋が冷たくなったのを今でも覚えています。
■「まさか自分が」と思っていた
最初の事故は、まだ自転車通勤を始めて数ヶ月の頃。
朝の通勤ラッシュで車が多く、路肩を走っていたときでした。
交差点を直進しようとした瞬間、右折してきた車がこちらに気づかず、ドンッという鈍い音とともに衝撃。
気づけば地面の上にいました。
幸い意識ははっきりしていて体も動く。
肘や膝に擦り傷ができた程度で済みました。
ただ、ヘルメットを見ると――真っ二つに割れていたのです。
あの瞬間、ヘルメットがなかったら…と思うと、ゾッとします。
頭から地面に落ちた衝撃を確実に守ってくれていた。
正直、それまでは「通勤くらいなら別に…」と軽く考えていましたが、それ以来、ヘルメットは“命を預ける道具”という意識に変わりました。
■2回目の事故で確信したこと
2回目は、1年ほど後のこと。
帰宅中、夜の見通しが悪い交差点で左折してきた車の巻き込み事故。
こちらはスピードも出していなかったので体はほとんど無傷。
でもやはりヘルメットにはひびが入っていました。
ヘルメットというのは一見「ただのプラスチックのカバー」に見えるかもしれませんが、中には衝撃吸収材(発泡スチロールのような素材)が詰まっています。
この素材が一度衝撃を受けると潰れて衝撃を逃がす仕組み。
つまり割れたりへこんだりしたヘルメットは、その瞬間に「自分の代わりにダメージを受けてくれた」ということです。
2度目の事故のあと、割れたヘルメットを見つめながらもう一度確信しました。
「被っていて本当に良かった」と。
■ヘルメットが守ってくれるのは“命”だけじゃない
多くの人が「ヘルメット=命を守るもの」と考えていますが、実はそれだけではありません。
頭部のケガには「命は助かるけれど、後遺症が残る」ケースも多くあります。
例えば脳震盪、記憶障害、平衡感覚の異常など。
これらは命が助かっても、その後の生活を大きく変えてしまう可能性があります。
ヘルメットは、そうした「人生の質」まで守ってくれる道具です。
通勤中のほんの数キロの間でも、もし転倒や接触があれば打ち所が悪いだけで命に関わることもあります。
実際、警察庁のデータでも「自転車死亡事故の約6割が頭部損傷」という結果が出ています。
ヘルメットを着用していればそのリスクは半分以下に減るとも言われています。
■“見た目”より“生きること”を優先に
「ヘルメットってダサい」「髪型が崩れるから嫌だ」という声もよく聞きます。
正直、私も最初はそう思っていました。
でも事故を経験したあとでは、その考えは吹き飛びます。
通勤スタイルを少し工夫すれば、見た目も快適さも両立できます。
たとえば――
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スポーティすぎないシティ用ヘルメット(街乗りに合うデザイン)を選ぶ
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通気性がよく軽いタイプを使う(夏も蒸れにくい)
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髪が潰れにくいインナーキャップを併用する
最近はスーツにも合うようなシンプルなデザインのものも多く、通勤ファッションに溶け込みやすくなっています。
「ダサいから被らない」よりも、「かっこよく被る工夫をする」方がずっと建設的です。
■ヘルメットは“消耗品”という意識も大切
もう一つ覚えておいてほしいのは、ヘルメットは一度でも衝撃を受けたら買い替えるべきということ。
外見が無傷でも中の素材が潰れている可能性があります。
実際、私が1回目の事故で使っていたものも外側はきれいに見えましたが内側は完全に変形していました。
また、衝撃を受けていなくても3〜5年を目安に交換するのがおすすめです。
紫外線や汗、温度変化で劣化していくため、耐久性が落ちていきます。
命を守る道具に「節約」は通用しません。
■まとめ:ヘルメットは“もしもの保険”ではなく、“毎日の安心”
自転車通勤を続けていると、いつの間にか「慣れ」が生まれます。
スピードを出しすぎたり、車との距離を甘く見たり。
私も何度かその油断を後悔しました。
しかし、ヘルメットを被っているだけで「守られている」という安心感があります。
そして、その安心感が余裕を生み、安全運転にもつながります。
ヘルメットは、ただの装備ではありません。
自分の未来を守る“投資”です。
どうか「たかが通勤だから」と軽く見ずに、今日から被ってみてください。
もしあの時、私がヘルメットをしていなかったら――
たぶん今こうしてこの記事を書くことはできなかったでしょう。
【おまけ:ヘルメット選びのポイント】
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サイズ調整機能付き(後頭部のダイヤルで微調整できるタイプ)
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日本の安全基準(SGマーク・JCF公認)を満たすもの
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重量400g以下なら、通勤でも疲れにくい
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ライトや反射材付きなら夜間も安心
命を守るためのたった数百グラム。
けれど、その“数百グラム”が、人生を左右するかもしれません。


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