ベトナムの“お正月（テト）”ってどんな日？

〜料理・飾り・家族の過ごし方と旅行者が知っておきたい注意点〜

ベトナムにも日本と同じように「お正月」があります。
それが テト（Tết / テト・グエン・ダン） と呼ばれる祝日です。

テトは単なる年始イベントではなく、1年で最も重要な国民的行事。
日本のお正月・お盆・帰省ラッシュ・年末年始セールを全部足したような存在、と言えばイメージしやすいかもしれません。

この記事では、

テトの基本的な意味
定番の正月料理
街や家の飾りつけ
家族の過ごし方
旅行者が注意すべきポイント

を、初めての人にもわかりやすく解説します。

テトとは？いつ行われるの？

テトは 旧暦の元旦 にあたるベトナムのお正月です。
毎年日付は変わり、だいたい 1月下旬〜2月中旬 の間に訪れます。

旧暦を使うため、中国の春節とほぼ同じ時期になりますが、
ベトナムでは「中国の影響」というよりも、独自に発展した文化行事として深く根付いています。

テト期間中は

官公庁
会社
学校
多くの個人商店

が 数日〜1週間以上休み になることも珍しくありません。

テトの主役は「家族」

テトの本質は、家族と先祖を大切にする時間です。

帰省は一大イベント

テト前になると都市部で働く人たちが一斉に故郷へ戻ります。
バス・飛行機・鉄道はどこも満席になり、日本の年末帰省ラッシュ以上の混雑になることも。

「どんなに忙しくても、テトだけは実家に帰る」
それくらいテトは家族にとって特別な期間です。

先祖供養も欠かせない

テト前には家を徹底的に掃除し、祖先の祭壇を整えます。
テト当日には線香や供え物を捧げ、
「今年も家族を見守ってください」と祈ります。

日本のお正月とお盆の要素が、同時にやってくる感覚に近いですね。

テトに欠かせない正月料理

テトの楽しみの一つが 特別な料理。
地域差はありますが、代表的なものを紹介します。

バインチュン（Bánh chưng）

四角い形をした、もち米・緑豆・豚肉をバナナの葉で包んだ料理。
北部を中心に食べられ、「大地」を象徴すると言われています。

バインテット（Bánh tét）

南部でよく見られる円筒形バージョン。
中身はほぼ同じですが、形が違います。

テト料理の特徴

保存がきく（冷蔵庫がない時代の名残）
油分が多め
普段よりボリュームがある

「テト中は太る」というのは、ベトナムあるあるです。

テトの飾りつけと縁起物

街や家は、テト前になると一気に華やかになります。

花で新年を迎える

北部：桃の花（Hoa đào）
南部：黄色い梅の花（Hoa mai）

これらは「幸運」「繁栄」「新しい始まり」の象徴です。

赤と金が多い理由

赤は厄除け、金は富と成功を意味します。
看板・飾り・ポチ袋など、色使いはとても派手。

日本の落ち着いた正月飾りとは、かなり印象が違います。

お年玉文化もある？

あります。
ベトナムでは 「リーシー（Lì xì）」 と呼ばれ、赤い封筒にお金を入れて子どもや年下に渡します。

金額よりも

縁起
気持ち
新年の祝福

が大切にされる点は、日本とよく似ています。

テト期間中の過ごし方

テト当日から数日は、

親戚回り
近所への新年挨拶
自宅でのんびり

が基本。

「テト初日に掃除をすると運を掃き出す」と言われ、
元旦は掃除をしない 家庭も多いです。

旅行者が注意すべきポイント

テト時期にベトナム旅行を考えている人は、要注意です。

① お店が閉まる

個人商店・ローカル食堂はほぼ休み。
観光地でも選択肢が一気に減ります。

② 交通機関が混雑・高騰

航空券・長距離バスは

価格が上がる
予約が取りにくい

早めの計画が必須です。

③ 静かすぎる街もある

ホーチミンやハノイ中心部は、人が一気に減り驚くほど静かになります。
「賑やかな東南アジア」を期待すると、拍子抜けするかもしれません。

④ それでも得られる特別な体験

一方で、

家庭的な雰囲気
テトならではの飾り
普段見られない文化

を体験できる貴重な時期でもあります。

まとめ｜テトは「文化の核心」

テトは単なる正月ではなく、
家族・先祖・新しい年への願いがすべて詰まった、ベトナム文化の核心です。

この記事のポイント

テトは旧暦の正月で、1年で最重要行事
家族との再会と先祖供養が中心
バインチュンなど特別な正月料理がある
花や赤い飾りで街が一変する
旅行者は「休業・混雑」に注意

ベトナムを深く知りたいなら、テトを知ることは避けて通れません。
文化の背景を理解すると、旅も人付き合いも、ぐっと面白くなりますよ。